一期一会とは元々、茶の世界においてその席を一生に一度の出会いと捉え、主客とも誠心誠意、心を込めて向き合う究極の姿勢を説いた言葉だといわれています。そして一服の茶がもたらす「深い感動」の背景には主がお客様を迎えるにあたって、そのお客様に思いを巡らせながら庭を清め、心を込めて花を生け、その席に相応しい軸を飾って器を選び、そして炭を熾して湯を沸かし、また茶菓子を作ったりと、一言では語りつくせないほど長い時間と手間をかけた準備と心使いというものがあります。
私共、山荘無量塔でもお客様をお迎えすることは茶の湯の「一期一会」と同じことだと考えています。実際に毎日違うお客様が皆それぞれ違った「思い」を胸にお見えになります。中には何度もお見えのお客様もいらっしゃいますが、前回とは季節も料理も違う訳ですから一日たりとも同じ日というものは存在しません。そんな日々一生に一度のお客様を迎えるにあたり、山荘無量塔の考える「一期一会」とは、先ずはご予約を頂いた瞬間からそのお客様がどういった「思い」と「期待」を持って私共をお選び頂いたかに深く思いを巡らせ、その期待に応えるためにはどうすればよいかをスタッフ全員で深く考えます。またお客様の旅そのものが思い出深い旅になるよう、あらゆるご相談にお応えしご宿泊以外でもお役に立ちたいと考えます。そして当日はお客様の客室を他人任せにするのではなく、自分たちの手で一から掃除をして庭を清め、花を生けます。そして実際お見えになってからはお客様が無量塔で過ごす「時間の重さ」に思いを馳せ、そのお客様が何を望み、どうすればご満足いただけるかをお客様の数だけ思いを巡らせ、その時に出来る限りの最適なおもてなしをして差し上げることだと考えています。